既報の第一報に引続き高張力異形鉄筋の調査研究を行なっ
た。本第二報は高張力異形鉄筋の品質の変動、コンクリート
の打上り高さが付着強度におよぼす影響および曲げ加工によ
って鉄筋表面に生じたキレツが引張特性におよぼす影響につ
いての調査結果を取纏めたものである。
品質の変動は、昭和41年度直轄港湾事業において使用さ
れたSD30およびSD35の異形鉄筋を対象とし、19の
工事事務所において無作為に採取した56種の試験片を用い
、降伏点、引張強度および伸びの試験を行なって調査した。
この結果、調査の対象となった56種の異形鉄筋はいずれも
JISの規格値を満足し、チャージ間の品質変動も概して小
さく、たとえば降伏点の変動係数は2〜3%であった。
コンクリート柱に打上り高さを変えて水平に埋込んだ異形
鉄筋のコンクリートとの付着強度は、打上り面0〜60cm
の表層部分では下層に比べて約1/3程度まで低下するが、
これより以下の部分ではほぼ一定となることが認められた。
このような表層部分における付着強度の低下は、打上り高
さによる圧縮強度の分布とほぼ符号するもので、直接的にブ
リージングの影響によることが認められた。
曲げおよび曲げもどし加工によって鉄筋表面に発生した鉄
筋を用いて、一定の時効硬化後に引張試験を行った結果、試
験片は曲げ領域の外側で破断し、肉眼で認め得る大きなキレ
ツ(0.1〜0.5?)も引張強度に影響せぬことが確かめ
られた。これは、冷間加工を施したことにより曲げ領域の引
張強度が高められたため、伸びは当然ながら減少し、たとえ
ば、素材の27%に比べて曲げ加工後の伸びが14%程度ま
で減少したものも認められた。
|