港湾技研報告

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海水のA.G.P.試験法とその適用

港湾技研報告 VOL.017 NO.02 1978.06

執筆者堀江毅,細川恭史,三好英一
所属海洋水理部 (主任研究官)

要旨

 植物プランクトンの光合成作用による有機物の生産は、栄
養塩に富む海湾で水質上の大きな問題となっている。海域の
富栄養化を評価するための新たな水質指標としてA.G.P
.(Algal Growth Potential藻類潜
在生産力)試験を検討した。海産緑藻の1種であるDuna
liella tertiolectaを用い、培養方式、
培養条件、栄養要求性等の基礎培養実験を行なった。その結
果、栄養塩特に窒素、リンに対して敏感に精度良く検出でき
るA.G.P.試験法を定めた。            
 この試験法を用いて大阪湾のA.G.P.値を夏期と冬期
に測定した。夏期の大阪湾では温度成層が発達し、底層貧酸
素水塊が現れ、主たる栄養供給源は陸域からの流入と嫌気的
底泥であると判断できる。冬期にはよく鉛直混合が起こり、
陸域からの流入栄養塩が希釈拡散して広がる。A.G.P.
試験は栄養レベルを表わす総括的指標であり、水質評価上合
理的かつ有効な試験であることが確認できた。      


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