港湾技研報告

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ヨシ原による水質浄化の特性

港湾技研報告 VOL.030 NO.01 1991.03

執筆者細川恭史,三好英一,古川恵太
所属海洋水理部 (主任研究官)

要旨

 沿岸での水質浄化が内湾に及ぼす影響について概観し,内
湾湾奥部などの水際で水質浄化能力を高めることの重要性を
検討した。沿岸大型水生植物(ヨシ)を用いた栄養塩の除去
作用を対象とし,ヨシ原の懸濁粒子の沈降促進作用・生物へ
の吸収同化作用の2つの作用について,現地での観察と室内
実験とを併用し,作用の大きさの比較を試みた。     
 栄養塩の吸収同化作用の速度として,ヨシ1本当りNでは
1.2mg/日,Pでは0.1mg/日の値を得た。吸収作
用は塩分・栄養塩濃度・ヨシの大きさによって変化する。秋
に枯れた後,干陸部ではNの再溶出は遅い。       
 ヨシ原内表層流は,水深が浅く流速が遅い。このためヨシ
茎の粗度効果は,流速・水位勾配と相互に関連している流れ
の予測法を提案し,粒子の沈降速度を与えれば沈降堆積量が
予測できるようになった。ヨシ原の沈降促進効果は,特に微
細な粒子に対し顕著である。


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