本研究では、繰り返し載荷を受けた場合の粘土の変形係数
の低下特性、および静的強度の低下特性を乱さない海成粘土
を用いて室内実験により調べている。
また種々の繰り返し荷重に対する変形係数の低下を予測す
るための方法を2種類提案した。一つは繰り返し載荷試験の
結果を利用する方法(SN曲線法)で、もう一つは静的強度
と塑性指数のみから予測する方法(塑性指数法)である。さ
らに、提案した方法を、繰り返し荷重が変化する場合の予測
法にまで拡張した。
得られた主な結論は、以下のとおりである。
1.繰り返し荷重に対して、変形係数は初期の変形係数の1
割まで低下するが、静的強度は7割程度までしか低下せず、
繰り返し載荷に対しては変形係数の方が敏感に変化すること
が示された。
2.繰り返し載荷中の両振幅ひずみ2%は、繰り返し載荷中
のひずみ急増中で、さらに静的強度の低下も生じるThre
shold strainであることが示された。
3.繰り返し載荷を受ける粘土の変形係数の予測法は、現地
の地盤の安定問題へ適用可能であることが示された。
4.粘土地盤が、波浪による繰り返し載荷を受ける場合の安
定性の検討法について、具体的な方法を示した。
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