港湾技研報告

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物理因子重回帰波浪予測モデル(欧文)

港湾技研報告 VOL.031 NO.05 1993.03

執筆者後藤智明,柴木秀之,青野利夫
所属水工部 海洋エネルギー利用研究室

要旨

 港湾建設の施工管理から船舶の航行、海洋性レクリェーシ
ョンに至る幅広い海洋活動における安全性の確保には、的確
な波浪予測情報の提供が不可欠である。従来より、波浪予測
を目的として用いられてきた手法として波浪推算モデル、統
計モデルがある。しかしながら、波浪推算モデルでは、推算
結果をそのまま予測値とすることに精度上の問題があり、ま
た、重回帰波浪予測モデルでは、予測波高の立ち上がりの遅
れや長期予測に対する予測精度かの低下といった実用化を考
える上で多くの課題が残されていた。          
 本研究では、これらの問題を克服するための新たな手法と
して、波浪推算モデルと統計モデルのそれぞれの長所を組み
合わせた物理因子重回帰モデルを提案し、その予測理論を述
べるとともに、現地へ適用した結果と予測精度に関する考察
を行った。得られた結論は以下の通りである。?物理因子重
回帰モデルは、本来なら微分方程式で記述される波浪の発達
、伝播、減衰を、代数方程式に書き換え、係数を回帰的に算
定し、これを波浪予測式としている。?物理因子重回帰モデ
ルによる出力諸元は、有義波周期のみならず、波向、風波と
うねりそれぞれの相当有義波高、相当有義波周期、成分波波
向である。?予測モデルAの係数は、期間が長いほど次第に
平均的な値になる傾向を有する。、あた。モデルBの短期予
測式の係数は観測波浪に強く依存する傾向を持つが、長期予
測では依存度は低下する。?物理因子重回帰モデルは、従来
の手法に比べ良好な予測精度を有し、重回帰モデルの大きな
欠点であった予測値の時間遅れの問題を解決している。また
、長期予測についても、重回帰モデルのように著しく予測精
度が低下する問題もない。


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