港湾技研報告

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浅場の窒素収支を考慮した3次元物質循環モデルの構築と計算事例

港湾技研報告 VOL.033 NO.03 1994.09

執筆者古川恵太,細川恭史
所属海洋水理部 (主任研究官)

要旨

 海域に存在する干潟や藻場といった浅い領域(浅場)での
環境改善機構に着目して、窒素循環を含む物質循環モデルを
構築し、これを湾内3次元計算として適用するために、多層
レベルモデルによる潮流計算を併用した。モデルの計算例と
して東京湾を対象として浅場の増加による湾内窒素容量の改
善効果の検討を行った結果を示した。          
 東京湾を1つのボックスとした予備計算から、窒素容量に
支配的な要因は第一に海水交換率であったが、浅場の面積も
ある程度の大きさをもつようになると、海水交換率の変化に
よる影響と同等の影響を及ぼすことがわかった。また、地形
を3通りに変化させ3次元計算を行い、窒素の存在量等とい
った定常解析の他、非定常解析による滞留時間の比較を行っ
た。その結果、過去の地形条件では、現在より窒素の容量が
大きくなり、その原因は海水交換率の増加にあることが推定
された。一方、現況の地形に浅場を増やした場合にも、窒素
の容量は大きくなるが、その原因は浅場の増加による海藻へ
の窒素吸収にあることが推定された。


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