港湾技研報告

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護岸越波量における波の多方向性の影響

港湾技研報告 VOL.035 NO.01 1996.03

執筆者平石哲也,望月徳雄,佐藤一央,丸山晴広,金澤剛,桝本達也
所属水工部 波浪研究室

要旨

 海の波は、様々な方向から来る波が重なり合った状態とな
っており、多方向不規則波としての性質を有する。そこで、
沖合の大水深海域に建設される人工島等の護岸を対象として
越波量に及ぼす波の多方向性の影響を模型実験と数値計算で
検討した。さらに、従来の海岸線近くに建設された護岸につ
いても、沖合の多方向不規則波が及ぼす影響を模型実験で調
べた。
 まず、水深40m程度の大水域の直立護岸を対象とした模
型実験と数値計算から以下の結論が得られた。
1)多方向不規則な波の護岸越波量は、実験結果を平均する
と、単一方向不規則波のそれの約7割として評価できる。
2)斜め入射波の実験結果をもとに提案した修正天端高係数
を用いる数値モデルを提案した。本モデルの計算結果は、斜
め入射単一方向不規則波および多方向不規則な蓑十ヶ結果と
よく一致し、多方向不規則波の推定法として用いることがで
きる。
3)主波向が0°より大きくなり30°程度になると、波の
多方向性が越波量に及ぼす影響は小さくなり、単一方向波と
の差が小さくなる。
 浅海域の海浜護岸を対象として模型実験を実施した結果、
以下の結論が得られた。
 1)直立護岸の場合には、浅海域においても多方向不規則
波の越波量は、単一方向波のそれの約7〜8割程度に減少す
る。傾斜護岸の場合には、実験値のばらつきが大きいが、平
均して8割程度に減少する。
 2)海浜護岸の場合には、エネルギー平衡方程式を用いて
護岸前面の波浪条件を求め、それを前出の数値モデルに適用
することで多方向不規則波の越波量を推定できる。


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