
主成分分析とカルマンフィルタを用いた統計的波浪予測手法の適用性について
港湾技研報告 VOL.035 NO.01 1996.03
| 執筆者 | 橋本典明,永井紀彦,清水勝義,菅原一晃 |
| 所属 | 水工部 海洋エネルギー利用研究室 |
要旨 | 港湾工事や荷役の安全確保、最適な施工管理あるいは航行 船舶の安全確保等のためには的確な波浪予測が不可欠である 。波浪予測手法としては、波浪推算法を用いる方法と統計モ デルを用いる方法がある。この内、波浪推算法を用いる方法 では、広域の気象情報が必要で、計算に際しては比較的大規 模なシステムが必要であって多くの費用や専門知識を要する ことが一般である。一方、統計モデルを用いる方法は、専門 知識を必要とせず、比較的容易に波浪予測を実施できる利点 がある。 既往の統計的波浪予測手法としては、重回帰式や多変量自 己回帰式等の回帰式を用いる方法や分割表を用いる判別型モ デルなどの種々の方法が提案されている。しかしながら、既 往の回帰式を用いる方法では予測波高が観測波高より遅れて 変動する重大な欠点を有し、また、判別型モデルでは予測波 高を具体的な数値として推定できない等の難点があり、実用 に供し得る信頼性の高い統計的波浪予測手法は未だ提案され ていない。 本報告は、既往の統計的波浪予測手法の問題点を種々検討 し、実用的かつ信頼性の高い統計的波浪予測手法として、新 たに主成分分析とカルマンフィルタを組み合わせたモデルを 提案するものである。本方法の適用性、妥当性は5年分の気 象・海象データを用いて数値的に検討されている。検討結果 によれば、本方法は実用上許容出来る誤差範囲内で数日先の 波高を予測し得ることが確認されている。 |
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