深層混合処理工法(Deep Mixing Metho
d,略称 DMM)は、原位置の軟弱粘性土に化学的安定材
を添加し、原位置で強制的に撹拌混合して地盤中に強固な安
定処理土を形成する工法で、ドレーン工法やサンドコンパク
ションパイル工法などに比べ短期間で高強度の改良地盤が得
られる、発生残土が少ない、周辺環境への影響が少ないなど
の数々の利点を有している工法である。深層混合処理工法は
、近年の構造物の大型化・急速施工に対する要求、さらには
騒音振動などの環境問題などを背景に脚光を浴びるようにな
り、現在では各地の港湾構造物の基礎や陸上での盛土・掘削
工事の安定・沈下対策に広く使用されている。
深層混合処理工法による改良地盤の形式のうち、港湾の分
野では、これまでブロック式と呼ばれるマッシブな改良形式
が主として用いられており、壁式や格子式改良の適用は限ら
れてきた。しかし、近年同工法の経済化が叫ばれ、ブロック
式より経済的な改良形式の港湾構造物基礎への適用を望む声
も大きくなってきている。
壁式改良地盤の挙動に関してはいくつかの実験的・解析的
研究が行われているが、改良地盤が極めて3次元的であるた
め、未だ十分に解明されていないのが現状である。
そこで、本研究では、壁式改良地盤の滑動破壊現象につい
て、円心模型実験装置を用いて埋立護岸の建設を再現し、埋
立中の改良体ならびに壁間未改良土に作用する土圧・間隙水
圧の変化、改良地盤の変位挙動などについて詳細に計測した
。特に、壁間未改良土に作業する土圧と改良体に作用する土
圧の相違、滑動破壊時の未改良土の挙動などについて検討し
た。さらに、実験結果と現行の設計法とを比較検討し、滑動
破壊時の壁間未改良土の取り扱いについても考察を加えた。
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