本報告では、防波堤ケーソンの据付作業の省力化および工
費の縮減、作業員の安全性の確保、施工能率の向上等に寄与
することを目的として開発した、防波堤ケーソン等の海洋構
造物の自動設置システムについて述べる。
本報告で示すシステムは、以下の手順で目標としたケーソ
ン設置位置にケーソンを据付けるものである。
?ケーソンを据付ける際に、ケーソンの位置および動揺量デ
ータ、ワイヤの張力データ、ケーソン設置海域の波高データ
などを計測する。
?計測データに基づき、作業船に搭載したエンジニアリング
ワークステーション(Engineering Work
Station,EWS)を用いてケーソンの位置および動
揺を予測する。
?各ウインチに対して、EWSからワイヤの巻上げ・繰出し
の操作命令を出力してケーソンの位置制御を行う。
以上の手順による本システムを用いることにより、現在、
作業船上で作業員が直接手動で行っているウインチ操作作業
を自動化することができ、海上工事における作業環境の改善
が期待できる。
本システムは、引船を使用した引船方式、引船を使用せず
アンカーを用いたアンカーワイヤ方式の2方式でケーソンの
据付作業を行うことが可能である。本報告では、これら2方
式のうち、引船方式によるシステムについて水理模型実験と
実施し、本システムの制御アルゴリズムの有効性を検証した
。その結果、本システムを使用すればケーソンを自動的にか
つ十分な精度で設置できることが確認できた。
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