
久里浜湾の流れ特性と生態系に関する研究
港湾技研報告 VOL.038 NO.02 1999.06
| 執筆者 | 日比野忠史,豊田政史,西守男雄,細川恭史,鶴谷広一 |
| 所属 | 海洋環境部 主任研究官 |
要旨 | 本研究は,小規模な内湾を対象として,湾内および湾周辺 での物質循環の実態を明らかにして,藻場の効果を組み込ん だ生態系モデルを確立することを目的としている.このため ,湾周辺での流れと生物活動に起因する物質循環の実体を明 らかにする.ここでは,久里浜湾の流れの構造および水質変 化と生物分布の特性を明らかにすることによって,湾内にあ る生態活動によってつくられる物質と東京湾から輸送されて くる物質とを分離し,それらの湾内での循環を明らかにする ものである.具体的には,?大規模な大気の運動(気圧配置 ,風系,気温)が,東京湾周辺海域の海面水位に与える影響 について考察すること,?久里浜湾における時間スケールの 異なる流れ場の特性,空間スケールの大きな水域の久里浜湾 内流れへの寄与を明らかにすること,?季節変化に伴う大型 海藻,プランクトン,水質等の変遷や赤潮の発生機構(例え ば1997年6月)を明らかにすること,?久里浜湾での栄養塩 の収支への寄与が大きいと考えられる大型海藻(アラメ,ア カモク等)に焦点を当てた物質循環の実体について明らかに し,大型海藻を対象とした生態系(藻場)モデルを構築する ことを行う. 本論文では,1996年9月ー1997年10月の約1年間に久里浜湾 で行われた4回の流動,水質および生物調査結果,1997年か らの東京湾観測結果および日本周辺海域での気象・潮位デー タから湾内での流れ場を引き起こす外力(例えば気象現象, 東京湾での流れ等)について検討した.これらの結果をもと に,久里浜湾の水質と水理現象の関係を明らかにし,大型海 藻を対象とした生態系モデルを提案した. |
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