海底地盤の沈降堆積過程における強度発現のメカニズムを
調べるため、地盤表層付近における微小ないし低応力レベル
での圧密試験を実施し、せん断強度の経時的な発現特性を調
べた。高含水比の粘土試料の経時的な強度発現特性を実験に
より調べた結果、土被り圧が1kPa以下の表層部でせん断強度
の時間的に対する増加量Δτ/Δlogtは、有効土被り圧p0が
大きいほど大きく、以下のような関係が認められた。
有効土被り圧が50kPaから1000kPaの場合について他の研究
者の実験結果からセメンテーションによる効果を分析した結
果、それらの値はおおむね上の関係に当てはまることが分か
った。さらに、有効土被り圧が1kPaから50kPaのときのせん
断強度の時間的増加特性を実験により調べた結果,この範囲
でも上式が成立するとの結果が得られた。70゚の高温条件の
もとで圧密した場合はせん断強度は常温の場合の1.5〜3倍と
なった。これは,高温条件で圧密速度が大きくなり二次次圧
密期間が長くなること、高温環境ではセメンテーションによ
る強度発現速度自体が増加することによると考えられる。上
記の関係式を用い、海底地盤の形成過程におけるせん断強度
や圧密降伏応力、間隙比などの変化を計算した結果,表層付
近のせん断強度分布は原位置での実測値の傾向とよく一致し
た。また、粘土地盤のせん断強度は堆積速度に左右され、同
一深度においてゆっくり堆積した地盤がより大きなせん断強
度を有することを示した。
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