要旨 |
本文は、軽量混合処理土工法の開発に関するこれまでの研
究成果と適用事例について述べている。主要な結論は以下の
ようにまとめられる。
1)軽量混合処理土工法は、液性限界以上に加水してスラリー
化させた浚渫土や建設発生土を原料土とし、これに固化材と
軽量化材(気泡あるいはEPSビーズ)を添加・混合して軽量
地盤を造成する工法である。軽量混合処理土の密度は気中部
分について1.0g/cm3、水中部分について1.2g/cm3程度に設定
され、設計せん断強度は1.0〜2.0kgf/cm2となるように設定
される。
2)海水中の軽量混合処理土は海水との接触面から劣化が進み
、密度が増加して強度は低下する。劣化速度は1〜3cm/年で
あるので、接触面の覆土など直接海水面に接することを防止
すれば劣化に対処できる。また,水中に打設する場合には材
料分離が少ない流動性と打設速度の条件があり、新たに提案
した材料分離抵抗性試験によって適切な条件を求めることが
できる。
3)軽量混合処理土を岸壁の背後に使用したときの地震時土圧
は現行の土圧式では計算できない。このため,分割法による
土圧算定式を考案し,その適用性を振動台実験で確認した。
4)阪神・淡路大震災で被災した岸壁の復旧において,背後の
土圧を低減する目的で神戸港浚渫土を原料とする気泡混合処
理土22,000m3が施工された。打設後22ヶ月までの間に気泡混
合処理土地盤の材料特性を調査した結果,気中部水中部のい
ずれも密度の変化はみられなかった。
5)東京国際空港の外周護岸の建設において、シールド工事に
よる発生土を原料土とした気泡混合処理土と発泡ビーズ混合
処理土を裏込め材として使用した。これは、発泡ビーズ混合
処理土の初の実施工であった。施工後にボーリングコアを採
取して調査したところ、ほぼ設計どおりの湿潤密度と強度を
有することが確認された。
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