液状化消波システムは,砂地盤の下から注水し上向き浸透
流を強制的に発生させ,その間隙水圧を大きくすることによ
って,砂地盤を液状化させ,この上を通過する波を減衰させ
る新しい波浪制御システムである.小型および大型水理模型
実験を行うとともにFEMを用いた数値計算を行い,この装置
の有効性を確認した.砂地盤の長さが1波長程度で厚さが水
深程度であれば,波高伝達率が0.2〜0.4となる大きな消波効
果が期待できる.砂地盤層が厚いほど,また水深が浅いほど
消波効果が大きく,周期に関わらずかなり安定した消波効果
が得られる.地盤条件が適切であれば,模型の縮尺や砂の粒
径に関わらず同様の消波効果が得られた.また,数値計算の
結果を用いて液状化消波システムの消波性能の算定図を示し
た.
装置の経済性や信頼性の向上を図るため,上向き浸透流発
生装置を用いて砂地盤の液状化について検討するとともに消
波効果の向上策について検討した.液状化装置として重要な
ことは均一な液状化地盤をつくりだすことであり,均一な液
状化は消波効果の向上と必要な流量の減少に効果がある.ま
た,波作用によって地盤の締め固まりが生じ,それによって
不均一な液状化となりやすく消波効果が低下する.波作用に
よる地盤締め固まりは,砂地盤の粒径が小さいほど,また作
用波の周期が長いほど強くなる.得られた結果に基づいて,
この装置の設計方法の確立し,ほぼ実規模の装置の設計例を
示した.
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