本論文では,海成粘土地盤の間隙比と土被り圧の関係を統
一的に説明することを試みている。成果は以下のようにまと
められる。
1)粘土の初期含水比と圧密圧力が十分大きいときに最終的
に収束するe-log p曲線である究極基準曲線(USC)が存在す
ることを,多くのe-logpデータに基づいて示した。USCは主
に液性限界のみで与えられる。
2)ある初期間隙比で練り返した状態から圧密圧力を加えた
ときのe-log p曲線は圧密圧力が増加するとともにUSCに漸近
し,最終的にUSCに一致する。この間のe-log p関係を定式化
し,実測値との対応を確認した。これにより,粘土の液性限
界と初期間隙比が与えられれば,年代効果が無いときのe-lo
gp関係が計算できる。
3)広範囲の土の間隙比の状態を表現する体積比指数Ivsを
提案した。Isvはln(1+ e)/ln(1+eL)で定義され(eLは液性限
界の間隙比),Burlandにより提案された間隙指数よりもそ
の意味と背景が明確になっている。初期含水比を液性限界の
1.5〜2.0倍として計算した基準圧縮曲線の体積比をIsvに変
換することにより,自然海成地盤を対象とした粘土の塑性に
よらない一つの土被り圧−体積比指数関係を求めることがで
きる。
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