港湾技研報告

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水の制震効果を付与した直杭式桟橋に関する研究

港湾技研報告 VOL.038 NO.01 1999.12

執筆者中原知洋,上部達生,三藤正明
所属構造部 構造振動研究室

要旨

兵庫県南部地震による港湾施設の被災の甚大さに鑑み,大都
市直下の大地震に対する運輸基盤施設の耐震性を合理的に確
保するための基礎的研究を行った.本研究では,代表的な港
湾構造物である桟橋式構造物に水の制震効果を付与した制震
技術の提案を行った.その構造は,桟橋上部工に設置する制
震版の一部を水中に浸水し,制震版と水の連成効果により地
震時に作用する慣性力の低減を図り,耐震性を合理的に高め
る構造である.実用化を図る前の基礎的研究として,模型振
動実験および地震応答解析を実施し,主に制震効果の確認と
メカニズムの把握について検討を行った.制震版の効果によ
り,上部工の応答変位および杭頭部のひずみがおおよそ50%
低減した.また,制震版が長く,剛性が大きく,枚数が多い
ほど制震効果が大きいことが確認された.さらに,減衰の大
きさは,制震版のない桟橋模型と比べて約3倍に増え,その
値は約5%程度と推定された.実験により得られた制震効果
等の結果は,地震応答解析で概ね説明できた.


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