要旨 |
自然堆積土の圧縮性や強度特性は,堆積過程で形成される
構造により大きな影響を受けている。これらの堆積構造を定
量的に評価するパラメータとしてバーランドによる間隙指数
が提案されているが,鋭敏粘土に関する間隙指数の適用性は
調べられていない。有明粘土は鋭敏比が最大1000となる場合
も報告されている日本の代表的な鋭敏粘土であるが,本報告
は有明粘土の多数の圧密試験結果を用い, 間隙指数による整
理を行い,鋭敏粘土の圧縮特性を明らかにするとともにその
原因を検討したものである。主な結論は次のようにまとめら
れる。
1) 練り返した有明粘土の圧密試験の結果を圧密圧力と間隙
指数の関係として整理すると,バーランドによる固有圧縮線
とほぼ一致した。練り返した有明粘土の圧縮挙動は,通常の
粘性土の圧縮挙動とあまり違わないといえる。
2) 自然堆積状態の有明粘土の有効土被り圧と間隙指数の関
係を求めると,ほとんどの場合,間隙指数はバーランドによ
る自然堆積圧縮線による値よりも大きかった。すなわち,有
明粘土は通常の粘土に比べ,相対的にかなり高い間隙指数で
堆積していることがわかった。
3) 有明粘土には,液性限界の違いによらず自然間隙比と土
被り圧にユニークな関係がみられる。このことは,堆積時に
おいて一様に高い液性限界であった粘土が,塩分溶脱によっ
て部分的に現在の液性限界に低下していると考えることで説
明できる。
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