港湾技研報告

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ケーソン式岸壁の地震時変形に及ぼす上下動の影響について

港湾技研報告 VOL.039 NO.02 2000.06

執筆者野津厚,上部達生,風間基樹,三籐正明
所属構造部 主任研究官

要旨

 港湾構造物の地震時の変形量を予測することは重要な課題
であるが,構造物の変形量に及ぼす上下動の影響については
不明な点が多かった.そこで本研究では模型振動実験及び数
値解析によりこの点について検討した.上下動の影響を評価
した.本研究により得られた結論は以下の通りである.
? 模型振動実験の結果,水平最大加速度が等しい場合には
,上下最大加速度が大きいほどケーソンの残留変位が大きい
という結果が得られた.
? 有限要素法プログラムにより模型振動実験の再現計算を
実施した結果,ケーソンと地盤との動的相互作用を考慮でき
るようにジョイント要素の垂直バネ定数を適切に定めれば,
上下動の影響を反映した岸壁の変形計算が実施できることが
わかった.
? 様々な強震観測記録を入力して数値解析を実施した結果
,変形量に及ぼす上下動の影響は,現状で最も精度が良いと
される変形予測手法にも不可避的に含まれる誤差と比較して
大きくないことが示された.このことから,現状ではケーソ
ン式岸壁の変形照査で上下動を考慮する必要はないものと考
えられる.


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