要旨 |
大深度による高い土被り圧の条件とともに, 長期間に渡っ
て年代効果の影響を受けた大阪湾洪積土は,一般の沖積粘土
に比べて数倍ないし数十倍の高い圧密降伏応力を有している
.洪積粘土の圧密では,圧密降伏応力を境にして急激に沈下
が生じることが報告されているが,このような圧密挙動に関
しては,いまだ未解明の点が少なくない.
いくつかの研究グループにより実施されてきた既応の分割
型圧密試験では,圧密理論の実験的な検証を主な目的として
再構成試料あるいは正規圧密粘土を対象としてきたが,年代
効果およびセメンテーション効果などにより,発達した構造
を有する粘土を対象とした研究は非常に少ない.また粘土の
構造に関する研究は主に微視的な調査方法,すなわち電子顕
微鏡やポロシメーターなどによって実施されているが,力学
試験による調査は未だに研究資料が不足し,未解明な点も多
い.
そこで本研究では高い降伏応力を有する大阪湾洪積粘土の
圧密特性を調べるために非常に高い剛性を有する港研式高圧
分割型圧密試験機を新たに開発し,それを用いて分割された
試料に対する経時的な層別圧密挙動および間隙水圧の変化を
計測した.また,一般的に行われる標準圧密試験と定ひずみ
圧密試験を行い,これらの結果との比較を行った.その結果
,圧密圧力の変化に従う大阪湾洪積粘土のユニークな圧密挙
動が観測された.
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