浮体が大型化するにつれて剛体的な浮体動揺は小さくなっ
ていく一方で,弾性応答が卓越する.その結果,曲げモーメ
ントなどの断面力が過大になり,構造安全性上の制約から設
計時の限界波高が数メートル程度以下になる可能性がある.
そこで,特に曲げモーメントが大きくなる10秒前後の比較的
長周期の波浪中の応答を低減する必要があると考えられる.
本研究では,浮体前端に各種付加構造を取り付けることで,
大型浮体の弾性応答を低減させることを試みた.
まず,水理模型実験を行い,これら付加構造による弾性応
答の低減効果を確認し,また,数値計算手法の精度確認を行
った.次に,数値計算手法によって, L字型構造を付加した
場合の弾性応答低減のメカニズムについて考察を行った.そ
の結果,L字型付加構造物による弾性応答低減は主として,
付加構造物付近での波強制力の打ち消し合いにより生じるこ
と,L字型付加構造物の没水水平部長さの6〜7倍の長さの波
長の波に対して,応答低減効果が大きい特性を持つことなど
が明らかとなった.さらに,長周期側で効果のあるL字型の
付加構造物と短周期側で効果のある鉛直壁型の付加構造物と
の複合的利用についても検討を行った
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