ほぼ一様な工学的性質を示すと考えられる海底地盤におい
て、5つの異なった調査業者が全く同じ方法によって行った
土質調査の事例を比較検討し、調査結果に及ぼす調査業者の
影響を調べたところ、以下の結論が得られた。
(1)5社の物理試験結果の中では特に塑性限界において顕
著な差がみられた。また、粘土分含有率においても試験
実施者による違いがあると推定された。
(2)試料採取時の乱れの程度によって、一軸圧縮強度や変
形係数などが大きく違ってくることがわかった。
(3)奥村が示した乱れによる強度の低下と変形係数との関
係は今回の事例においてもほぼ当てはまった。中瀬らの
提案による変形係数からquを補正する方法を適用する
と,5社の違いは縮小するが,まだ20%の差がある。
(4)砂分の多い粘土のquについての補正方法を適用した
結果を見ると,パラメータとして塑性指数を用いるかあ
るいは粘土分含有率を用いるかによって補正結果が大き
く違う場合がある。
(5)乱れによって圧密降伏応力pcは過大評価される可能
性がありpcを用いて地盤の強度を推定する場合は乱
れに関して十分な考慮が必要になると考えられる。
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