港湾技研資料

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流れおよび波による底泥の巻き上げ限界

港湾技研資料 NO.0674 1990.06

執筆者鶴谷広一,江口秀二,佐々木豊喜
所属海洋水理部 (水理研究室)

要旨

 底泥の巻き上げ現象を考える上で重要な巻き上げ限界せん
断応力τ0について検討した。これまで行われてきた研究で
は、底泥に波が作用した場合のτ0は、流れが作用した場合
のτcに比べかなり小さいことが報告されている。本研究で
はカオリナイトを用いて、流れによる巻き上げ(実験1)、
波に巻き上げ?(実験2)、波による巻き上げ?(実験3)
の三種類の実験を行った。実験2と実験3では、底泥層の厚
さを変え、底泥内に作用する圧力勾配が巻き上げにに影響す
るかどうかを調べた。主な結論は次のとおりである。   
1)底泥に流れが作用した実験1の場合と、底泥が波動運動
しない実験2の場合、底泥表面が破壊すると急激な巻き上げ
を生じる。これよりτcは底泥の強度を表す降伏値τと関係
付けられ,両者はほぼ一致する。            
2)上の結果より,底泥の巻き上げ限界に関わるせん断応力
を「底泥内のせん断応力が降伏値になったときに,底泥表面
に作用しているせん断応力」と定義することができる。  
3)この定義に基づけば,波による巻き上げ(実験3)での
τc0が実験1でのτcよりもはるかに小さくなることを説
明できる。また、流れと波共存場や円形タンクでのτcにつ
いても説明できる。                  


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