係留施設の防衝工の設計においては、係留船舶の動揺によ
る衝撃力を考慮しなければならない。そこで、本資料では、
一般貨物船、タンカーについて代表的な船型を選び、また、
ゴム防げん材の変位復元力特性を類別し、その中から代表的
な特性を選定し、さらに波向、友義波高、有義波周期、風向
、平均風速などを変え動揺数値シミュレーションを行い、ゴ
ム防げん材の変位復元力特性をパラメータとして防衝工の最
大変位の計算結果を提示した。
本資料において得られた主要な結論は以下である。
1)同一吸収エネルギーで選定した防衝工については、Ε/
δaが小さいほどδmax/δaが小さい。したがって、係
留船舶の動揺による影響が大きな場合にはE/δaが小さい
防衝工を選定するのが良い。
2)波向30円の場合には、接岸時の条件で選定した防衝工
であっても係留船舶の動揺による防衝工の変位は許容変位以
下である。しかしながら、波向60円または90円の場合に
は、防衝工の最大変位が許容変位を越える事例がみられるの
で、このような条件にある係留施設の防衝工の設計において
は、係留船舶の動揺を十分に考慮して適切に防衝工を選定す
る必要がある。
3)大型船では接岸時の条件で選定した防衝工であっても係
留船舶の動揺を吸収することが可能であるが、中型船では吸
収できないことがあるので、係留船舶の動揺を考慮して防衝
工を選定する必要がある。
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