本研究は、土圧を受ける重力式港湾構造物の地震応答特性
及び、構造物に作用する地震時土圧を解析的、実験的に明ら
かにし、同構造物の地震時安定性について考察したものであ
る。まず、重力式構造物−周辺地盤系の地震応答解析のため
の剛体−地盤ばねモデルを提案し、同モデルを用いて構造物
と周辺地盤の動的相互作用が剛体構造物の地震応答に及ぼす
影響を明らかにした、また、１Ｇ場における模型振動実験か
ら、ケーソンに作用する動的土圧の特性を検討し、構造物−
地盤全体系の動的相互作用を考慮して地震時土圧を評価する
必要性を示した。次に、遠心力載荷実験手法の動的問題への
適用について考察し、同手法を重力式港湾構造物の地震時安
定問題に適用し、地盤の動的物性の拘束圧依存性を考慮する
ことの必要性を示した。最後に、現行の地震時安定計算手法
の問題点を整理し、本研究の成果から重力式港湾構造物の地
震外力の新しい算定法を提案した。