神戸港の岸壁・護岸・防波堤の置換層、埋立部について9
地点で今回の地震(兵庫県南部地震)での液状化に関する各
種調査・解析を行った。本調査・解析から以下のような結論
が得られた。
・神戸港で置換土、埋立土に用いられていたまさ土の粒度試
験を行った。まさ土の粒度分布は、港湾の基準で示されてい
る液状化する可能性の高い粒度範囲からはずれていた。
・標準貫入試験結果より得られたN値は20以下になるとこ
ろが多かった。
・凍結サンプリングで乱さないまさ土を採取し、繰返し三軸
試験を行った。繰返し三軸試験から、まさ土の液状化抵抗は
繰返しせん断応力比で0.25弱で、通常の砂の液状化抵抗
の範囲に入るものであることがわかった。
・一次元地震応答計算を行った。その結果、地表面で450
gal程度の加速度が得られた。また、等価加速度は500
gal近い値となった。
・粒度・N値法による液状化の予測・判定を置換層・埋立て
部について行った。予測・判定結果は、調査を行った各地点
のいずれにおいても液状化の可能性があるという結果になっ
た。各地点の液状化の深度方向の範囲については地点により
異なるが、ほぼ全層が液状化の可能性があるという予測・判
定結果になったものがあったる
・繰返し三軸法による液状化の予測・判定を六甲アイランド
とポートアイランドの2地点の岸壁・物揚場で行った。予測
・判定結果は、いずれの地点においても液状化の可能性があ
るという結果になった。また、液状化の可能性のある層の深
度方向の分布は、ほぼ全層が液状化の可能性があるという予
測・判定結果になった。
・繰返し三軸法により求めた液状化抵抗率:FLは、六甲ア
イランドの岸壁で0.5程度、ポートアイランドの物揚場で
0.2〜0.5となり、かなり低い液状化抵抗率となった。
このことから、今回の地震による両施設の液状化の程度(液
状化による地盤変状等9はかなり大きいものであったと考え
られる。
・六甲アイランドの内陸部の埋立地盤およびポートアイラン
ドの一部では、噴砂等の液状化の痕跡が観察されていないと
報告されている。これは、ここで行った液状化の予測・判定
結果と異なっている。この原因は、内陸部で用いられた埋立
土砂が岸壁施設付近で用いられた土砂と異なること、また、
締固め等の地盤改良が御こなれていたことが原因として考え
られる。
・液状化後の地盤変位に関する数値解析を行った。解析は繰
返し三軸法による液状化の予測・判定から得られたFL値と
繰返し三軸試験結果を用いて線形弾性有限要素解析で行った
。解析結果は、ケーソン下端が3mせりだしケーソン背後の
埋立部ば3m沈下するという結果になった。解析には地震に
よる慣性力が考慮されていないが、実際の変位量とほぼ対応
した結果になった。このことから、今回の岸壁・護岸の大変
位は液状化に起因していることろが大きいといえる。
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