
多層レベルモデルにおける内部せん断応力の評価法に関する検討
港湾技研資料 NO.0820 1996.03
| 執筆者 | 鶴谷広一,K.P.P.PATHIRANA,中川康之 |
| 所属 | 海洋環境部 水理研究室 |
要旨 | 本研究は、既存のシルテーション予測モデルでは再現でき なかった高濃度浮泥層の流動現象による底泥輸送量の算定を 可能とするモデルの開発を目的として、その基礎となる海水 流動場を計算するための水理モデルの適用性について調べた ものである。対象とした水理モデルは、これまで港湾技術研 究所において開発されたシルテーション予測プログラムに利 用されている多層レベルモデルである。 まず対数分布則にしたがう開水路流を対象として、既存の モデル中の各種パラメータを変えることにより、計算結果に おける水平流速の鉛直分布の再現性について調べた。つぎに 、モデル中のせん断応力項の評価式に混合距離理論を導入し た場合についても同様な検討を行った。また底面摩擦項の評 価法にも検討を加えた。さらに、風応力の影響を受けて吹送 流が存在する場についても、混合距離理論を導入したモデル により計算し、風洞水槽を用いた実験結果との比較によりそ の妥当性を検証した。 その結果、以下のことが明らかとなった。 1) 既存の多層レベルモデルでは、計算結果が内部摩擦係 数値や分割層数の設定の仕方に強く依存してしまい、し かも対象とする流れ場に応じた値を設定する必要がある 。 2) 内部せん断応力の評価式に混合距離理論を導入し、す なわち内部摩擦係数を水深の関数とした場合、流れに応 じたパラメータの設定をすることなく妥当な解が得られ る。 3) 底面摩擦項の評価に最下層の流速値を用いると、内部 摩擦係数の与え方に関係なく流速場全体が常に過大評価 されてしまい、これは断面平均流速を用いることにより 矯正される。 4) 混合距離理論を導入したモデルでは、吹送流が存在す る場でも妥当な計算結果が得られる。 |
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