運輸省の施策であるモーダルシフトの推進、環境にやさし
い輸送の実現を可能にする超高速船等の革新的輸送構造を実
用化するためには、新たに創出される輸送サービスに対する
ニーズを的確に把握する必要がある。
高速海上輸送に対する荷主のニーズ、輸送機関選択の条件
などを把握するため、運輸省は平成4年度に、荷主(製造業
者、卸売及び小売業者)に対してアンケート調査を実施して
おり、今回この貴重な調査データを詳細に解析した。アンケ
ート調査上の条件として、対象分野を国内長距離輸送(概ね
500km以上)に設定、高速海上輸送としてTSLの開発
目標を提示、回答者を事業者内の主にトラック輸送を担務す
るものに設定しており、この条件のもとで次のような荷主の
ニーズを把握することができた。
(1) 解析の対象とした荷主が主に取り扱う品目は金属機
械工業品、化学工業品、軽工業品、雑工業品であり、
輸送機関としてトラック利用が特出してはいるが、フ
ェリー輸送、鉄道輸送、及び内航近代化船の利用も比
較的多い。
(2) 運送スケジュールの実態としては、午後に貨物を出
荷し到着日の午前に荷受けする運送が多い。高速海上
輸送によりスケジュールが改善されるとすれば、午後
出発で翌々日着のスケジュールでは、一日到着が早ま
り翌日配送となる分野にニーズが強いと考えられる。
(3) 高速サービスを得るための輸送費用上昇の限界につ
いては、回答数が少なかったが、たとえば、一日早い
輸送サービスについては、高速サービス利用の希望を
持つ者のうち、概ね2割が20%程度を費用上昇の上
限と回答している。
|