港湾技研資料

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高速海上輸送に対する荷主のニーズ −国内長距離輸送分野におけるモーダルシフトの意向調査結果の解析−

港湾技研資料 NO.0823 1996.03

執筆者奥田薫,村田利治
所属計画設計基準部 計画基準研究室

要旨

 運輸省の施策であるモーダルシフトの推進、環境にやさし
い輸送の実現を可能にする超高速船等の革新的輸送構造を実
用化するためには、新たに創出される輸送サービスに対する
ニーズを的確に把握する必要がある。          
 高速海上輸送に対する荷主のニーズ、輸送機関選択の条件
などを把握するため、運輸省は平成4年度に、荷主(製造業
者、卸売及び小売業者)に対してアンケート調査を実施して
おり、今回この貴重な調査データを詳細に解析した。アンケ
ート調査上の条件として、対象分野を国内長距離輸送(概ね
500km以上)に設定、高速海上輸送としてTSLの開発
目標を提示、回答者を事業者内の主にトラック輸送を担務す
るものに設定しており、この条件のもとで次のような荷主の
ニーズを把握することができた。            
(1) 解析の対象とした荷主が主に取り扱う品目は金属機
   械工業品、化学工業品、軽工業品、雑工業品であり、
   輸送機関としてトラック利用が特出してはいるが、フ
   ェリー輸送、鉄道輸送、及び内航近代化船の利用も比
   較的多い。                   
(2) 運送スケジュールの実態としては、午後に貨物を出
   荷し到着日の午前に荷受けする運送が多い。高速海上
   輸送によりスケジュールが改善されるとすれば、午後
   出発で翌々日着のスケジュールでは、一日到着が早ま
   り翌日配送となる分野にニーズが強いと考えられる。
(3) 高速サービスを得るための輸送費用上昇の限界につ
   いては、回答数が少なかったが、たとえば、一日早い
   輸送サービスについては、高速サービス利用の希望を
   持つ者のうち、概ね2割が20%程度を費用上昇の上
   限と回答している。               


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