港湾技研資料

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アスファルトコンクリートの層間付着におけるタックコートの効果

港湾技研資料 NO.0827 1996.03

執筆者八谷好高,野田工
所属土質部 滑走路研究室

要旨

 アスファルト舗装においては、一般的に、密度を均一にす
るとともに平坦性を良好にするために、アスファルトコンク
リート表・基層がいくつかの層に分けて舗設される。この場
合、層間の接着が十分でないと接合面が構造上の弱点となる
ので、層間の付着をよくしてアスファルトコンクリート全体
を一体化する目的で、接合面にはアスファルト乳剤を用いた
タックコートが施工される。              
 近年、アスファルトコンクリートの破損現象が、空港滑走
路の航空機が制動をかけたり、高速でカーブを切るような箇
所においてみられることがある。その原因として、上記のよ
うなアスファルト舗装の層間付着が不十分なことが考えられ
ている。                       
 このような点は十分には検討されていないので、タックコ
ートがアスファルトコンクリート層同士の接合力に及ぼす効
果について室内試験により詳しく検討した。まず、航空機荷
重が舗装に加わった場合に表層・基層間に作用する応力につ
いて検討した。次に、タックコートの有効性について室内試
験により確かめたのち、施工方法の異なる現場から試料を採
取して、表層・基層間の付着力の実態について調べた。そし
て、既設面の汚れの程度が付着特性に及ぼす影響について、
室内でその汚れを再現して検討した。          
  一連の研究の結果、次のような結論が得られた。   
1) アスファルト表・基層間の剥離減少は、航空機の制動
  等による水平荷重が作用する滑走路昼間部で、夏期に生
  じやすい。                    
2) アスファルト表・基層間の付着力は基層と表層の間の
  施工間隔が影響し、施工間隔の長いほうが強度は小さく
  なる。                      
3) 表・基層間に砂等が付着していない場合、ラックコー
  トを施工することにより境界面の引張強度は増加する。
  層間剥離を防止するという観点からみると、最適アスフ
  ァルト量は0.2リットル/m2程度が適当である。   
4) 表・基層間に砂等が付着した場合は、常温から高温側
  で強度低下が認められる。ラックコート施工にあたって
  は、養生時間を充分確保することにより砂付着による強
  度低下を低減できる。また、ラックコート量を0.4リッ
  トル/m2程度に増加することは強度増加の点からは有利
  となる。                     


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