港湾技研資料

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くし型浮体の波浪による断面力の計算法

港湾技研資料 NO.0828 1996.03

執筆者白石悟,米山治男,横井和幸
所属構造部 海洋構造研究室

要旨

 本資料ではマリーナの浮桟橋のように主桟橋と補助桟橋で
構成されたくし型構造の浮体(くし型浮体)の波浪による断
面力の計算法について提案する。断面力の計算法としては従
来、浮体の動揺を考慮しないミューラーの式、断面分割法に
よる波力およびラディエーション流体力を用いて計算する浮
体の動揺を考慮した方法(断面分割法モデル)とがある。こ
れらの手法は箱形浮体を対象とした計算方法であり、くし型
浮体には適用することができない。そこで、任意形状の浮体
の波力、ラディエーション流体力を計算できる三次元特異点
分布法を用いて、くし型浮体の断面力を計算する方法(特異
点分布法モデル)を提案し、従来の断面力の計算手法との比
較を行った。                     
 本資料の主要な結論は以下のとおりである。      
(1) 浮体の動揺を考慮した断面分割法モデルおよび特異
   点分布法モデルによる断面力は、浮体の動揺を考慮し
   ないミューラーの方法による断面力に比べ、小さくな
   る。                      
(2) 特異点分布法モデルによる計算において、X軸(長
   軸)方向の要素分割数が粗いときには、短周期の波に
   対しては、断面力が大きく計算される傾向があるので
   、1分割要素のx軸(長軸)方向の分割要素長と波長
   の比リットルx/λは0.05以下となるように分割数を設
   定する必要がある。また、ねじりモーメントを算出す
   るためには、浮体のy軸(短軸)方向の分割が必要で
   あるが、計算時間の節約等により、実用上は5分割程
   度でよい。                   
(3) くし型桟橋において、動揺に対する補助さん橋の影
   響は、補助桟橋の有無、本数、間隔等の違いによる差
   が短周期波側で顕著に現れ、長周期波側になるに従っ
   て影響が小さくなる。              
(4) 主桟橋の断面力に対する補助桟橋の影響は、垂直せ
   ん断力、垂直曲げモーメントについては、補助桟橋が
   主桟橋の中央に位置する1組および3組の桟橋におい
   て単桟橋との違いが特に顕著に現れる。      


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