
リモートセンシング技術を用いた潮目分布の推定とその大阪湾への適用
港湾技研資料 NO.0831 1996.06
| 執筆者 | 村上和男,浅井正 |
| 所属 | 海洋環境部 環境評価研究室 |
要旨 | 人工衛星によるリモートセンシング技術を用いて、潮目の 位置を推定する手法を開発し、大阪湾を対象としてその推定 手法の検証を行った。大阪湾で発達する潮目は潮汐フロント と呼ばれるものであり、沿岸域と外海での水質特性の違いに よりその境界部に発生するものである。そこで、人工衛星N OAAのAVHRR(改良型高分解能放射計)センサによる 衛星画像を用いて、海域をクラスター分析により区分し、区 分された海域の境界として潮目を抽出した。推定された潮目 を用いて、現地観測結果の示す特性を説明することができた 。 本研究により明らかになった主要な結論は次のとおりであ る。 (1) 潮目の推定において海表面温度がもっとも重要であ り、概して東側の沿岸部に高温域が存在していた。こ のことは、大阪湾の東側で成層が発達していることを 示し、潮流の影響の強い湾の西側との間に形成された 潮汐フロントが観測されている可能性が強いことを示 している。 (2) 潮目の一に推定に用いるリモートセンシングのデー タは、NOAAのAVHRRセンサを使用する場合、 MCSST(大気補正済み海表面温度)データのみで 十分であった。 (3) クラスター分析による海域の区分は、最長距離法を 用いて実施した場合にもっとも安定して行うことがで きた。最短距離法を用いた場合、画像に含まれるノイ ズや陸域部の画像から与えられる影響を強く受け、推 定値が非常に不安定であった。 |
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