港湾鋼構造物の海水中、海泥中環境の腐食には現在電気防
食法が適用されている。しかしながら、生物付着下の防食効
果、汚染海域や海泥中環境の適切な防食電流密度等について
は十分に検討がなされていない。そのため、これらの事項を
明らかにする目的のために実構造物を使用して汚染海域にお
いて現地試験を実施した。
試験結果から以下に示す事項が明らかとなった。
(1) 海洋生物が付着した鋼材表面の孔食は、無防食期間
に発生する。
(2) 電気防食は無防食時に発生した腐食の進行を防止で
きることが確認された。
(3) 鋼材表面への海洋生物の付着は電気防食の防食効果
に悪影響を及ぼさないことが明らかとなった。
(4) 汚染海域における海水中の防食電流密度は上層部で
大きい傾向を示した。その値は清浄海域の1.5〜2
倍程度であった。
(5) 本海域における海泥中の防食電流密度は海底面から
10m程度までは30mA/?程度必要であった。し
かし、それよりも深い部分では10mA/?程度で充
分防食出来ることが明らかとなった。
(6) 陽極の発生電流は中。下層に比べて上昇部(−2m
)で大きい傾向を示した。その結果、上層部の陽極は
他の深度よりも早い時期に消耗することが考えられる
ために、その対策が必要である。
(7) 汚染指標値に準拠した清浄海域と汚染海域に対する
防食電流密度の取り方について提案した。
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