歩行者、自転車利用者及び車椅子利用者が、港湾背後の市
街地などから水際部へアクセスし、水際部で散策などが楽し
めるような空間について、国内での事例を港湾管理者からア
ンケートにより収集した。親水空間が人々に好まれ、長く使
われ続ける空間として整備されるべきものであるという認識
に立って、事例をもとに水際部の歩行空間や背後から水際部
へのアクセス路の整備の現状と問題点を整理した。
主な分析結果は以下の通りである。
?市街地等港湾の背後から水際部へ歩行者等がアクセスする
ルートは、歩車を分離し独立した歩行者系空間を設けた事例
が見受けられるものの、法線としては自動車道路に沿ったも
のとなっている。歩行者系の動線は自動車道路の法線が前提
となって検討されているものと考えられ、計画の初期段階か
らの歩行者形動線への配慮が望まれる。
?親水空間としての利用に不利な護岸形状等の条件を克服し
て水際線の利用を極力図る断面構造の工夫が見られた。しか
し、一方で、地形条件のことなる水際部において、同様な勾
配、ブロック構造の階段型の断面構造が採用される傾向も見
受けられた。
?空間内部に採用されるデザインについては、素材の多用、
ディテールの複雑化、安易な自然風の処理と言った傾向が見
受けられる。
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