浅水深における波浪諸元を簡易かつ安価に観測することが
でき、なおかつリアルタイムでモニターできる波浪監視計を
開発した。
本資料は、波浪監視計の設計思想、すなわち機能と構成を
示すとともに、当所アシカ島観測施設における現地実証実験
結果を紹介するものである。
波浪監視計は、海底面に設置される水圧センサー、簡易無
線装置を搭載した小型ブイ、陸上データ受信装置と表示・記
録装置から構成されるものである。水圧変動記録の表面波形
への高精度換算システムを組み込み、特定小電力無線による
リアルタイム波浪監視ができる波浪監視計は、従来の波高計
に比べて、非常に簡易かつ安価なものであるが、現地実証実
験の結果、以下の成果を得ることができた。
?有義波高が4m近い時化にあたっても、システムは正常
に機能し、その安定性と、信頼性が確認されたこと。
?波浪監視計に内蔵した水圧変動記録から高精度に表面波
形を推定する数値フィルターは、その最大補正倍率を30程
度とすることによって、その観測精度と信頼性が十分に満た
されること。
?波浪監視計では、データの速報性を高めるため、各観測
におけるデータのサンプリング時間は、従来の波高計の半分
の10分間に設定しているが、最高波諸元算出には若干のば
らつきは見られるものの、有義波諸元に関しては、演算結果
の安定性が確認されたこと。
波浪監視計は、海水浴場等における安全監視に応用できる
。このため、従来から当所が研究を進めている人の安全と気
象・海象との関係に関する知見を反映させて、音声等による
危険表示機能の付加が今後の課題となっている。
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