作業船等の係留で安定した大きい係留力を得るため,アン
カー重量が軽量で,曳引力の大きい高把駐力アンカーが求め
られている。高把駐力アンカーは,フルーク部が幅広形状を
有し,曳引に伴って土中へ深く潜り込み,土の自重やせん断
力によって高い把駐力が得られる。一方で,フルーク部分が
幅広い面積を持つことによって,フルーク左右面に作用する
力が不均衡になり易く,土中での安定性が低下する。
本研究は,模型実験によって高把駐力アンカーの土中への
貫入機構,曳引力,またアンカー姿勢の安定性等について明
らかにした。主要な結論は,以下の通りである。
(1)高把駐力アンカーの曵引力は,曳引距離2mで最大200
kgfに達し,把駐力係数で表すと100程度となる。
(2)面積が同一の場合,フルーク形状による曵引力の差は
少ない。
(3)曳引力は主にシャンク角度に依存し,概ね25°付近で
最大になる。
(4)曳引力は,フルークの貫入深さの1.5乗に比例して増
加する。
(5)フルーク刃先廻りのモーメントの計算によって,シャ
ンク角,曵引方向,アンカー重量等の影響を評価することが
できる。
(6)曵引中のアンカーの傾きを積極的に補正して,安定し
た姿勢が保持できる安定板付アンカーを提案した。
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