
長周期波に対する防波堤の波高低減効果に関する模型実験
港湾技研資料 NO.0874 1997.09
| 執筆者 | 藤咲秀可,丸山晴広,平石哲也 |
| 所属 | 水工部 波浪研究室 |
要旨 | 近年,港内で係留されている大型船が前後に大きく動揺し ,荷役が中断されたり,係留索が切断されるなどの現象が報 告されている.動揺する船舶は鉱石運搬船,石炭運搬船,あ るいはタンカー等であり,載荷重量トンが約50,000DWT前後 のものに被害が集中している.その動揺量は最大で数メート ル以上にも及ぶ.これらの現象は,各地の港湾での現地観測 によって,港内に伝播した周期1〜5分の長周期波と船舶〜 ロープからなる係留システムとの共振によって生じているこ とが確認されている.長周期波は風波に比べて波長が長いた め,これまで風波を抑止する目的で建設されてきた防波堤は 十分な効果を発揮できていないと考えられる.しかしながら ,港外で長周期波が観測されているにもかかわらず,港内で 長周期波による被害が生じていない港湾も存在し,これらの 港湾においては,ある程度防波堤の抑止効果が期待できるこ とが判明している. 本研究では,模型実験によって,港口部の防波堤による長 周期波の低減効果を定量的に検討した.得られた主要な結論 は以下の通りである. (1)防波堤を港口部に配置することにより,対策なし の場合と比較して,港内の長周期波高を最大で約50%低減 することができる. (2)既存の防波堤開口部を1/2に狭めた場合も,港 内長周期波高の低減に関して,港口部に防波堤を設置した場 合と同様の効果がある. |
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