近年,港湾構造物の建設にあたって,周辺の生態系への配
慮が望まれるようになっている.しかし,建設される構造物
の形式と周辺の生態系との関係についてはわからない点が多
い.ここで,構造物の建設とは,生物にとって新しい物理的
・化学的な環境条件が提供されることを示している.
したがって,これらの環境条件と生物の分布状況との関係
を把握することにより,生息する生物に対する適切な条件を
与える必要がある.そこで,全国で行われた港湾構造物上の
付着生物に関する現地観測結果を整理することにより,様々
な環境条件の下にある生物の付着状況の検討を行った.
この結果から,波浪条件,構造形式等と付着生物の出現状
況の関係について定量的な検討を行った.
調査データの整理と並行して,関西国際空港,御前崎港,
横須賀港において生物付着の状況について定量的な調査を行
った.現地調査の結果について考察を加えるとともに,前述
した調査データの整理より得られた検討結果の検証を行った
.
また,我が国は南北に長く,気象・海象条件等の違いから
港湾ごとに生息する生物の特徴が少しずつ異なっている.そ
こで,各港湾で得られた調査結果をもとに,付着生物分布に
よる港湾の分類を試みた.
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