現在の港湾工事は人力作業に大きく依存しており,その作業
内容によっては,熟練度が要求されたり危険を伴う.また,
建設業は景気の状況によって就業者が増減しやすい職種であ
るため,就業者不足が再び問題となることも十分に考えられ
る.このような状況の中で建設業の生産性と安全性の向上を
図っていくためには,建造物の規格化,プレハブ化や機械化
を進め危険作業を減らし,労働者の熟練度に依存しない施工
技術を開発することが重要である.港湾建設分野で現在開発
中の省力化施工技術では,ケーソン製作技術の省力化が急速
に進んでいる.この中では,隔壁を鉄筋コンクリート版でユ
ニット化するプレキャストケーソン,ユニット化した合成版
を鉄骨組みに取り付けるパネルシステムケーソン,地上で鉄
筋を先組みしてケーソン上に建込む鉄筋ユニット工法が実証
試験を経て現地で採用されている.コンクリート打設の労働
力を大幅に削減できる高流動コンクリートについての施工法
の開発等も進展している.しかし,省力化施工技術の大半は
開発途中である.省力化施工技術を普及させるには,今後よ
り一層の施工の機械化・自動化を進めていく必要がある.
|