側方流動をおこす地盤中にある構造物の被害事例は多く,さ
まざまな研究が行われてきている。本研究は,比較的しっか
りした地盤に挟まれた弱層の存在により上下の層が相対的に
側方に移動するような条件の地盤中にある杭の挙動について
実験的に検討したものである。このような条件が発生するケ
ースの一つに,中間層での液状化の問題があり,兵庫県南部
地震を契機に注目を浴びてきている。この実験では,層厚80
cmの模型地盤(上部50cmを硬層,下部30cmを弱層とした)を作
成し,土槽底板を静的に引抜くことにより側方流動を模擬し
た。このとき,弱層の地盤強度と杭間隔をいくつか選び,そ
れらのパラメータが杭の挙動にどのように影響するかを調べ
た。その結果,以下のような結論を得た。
1) 中間弱層の強度の違いは,杭の挙動に大きな影響を与え
る。
2) 中間層が液状化する場合のように,中間弱層の強度が極
端に低い場合には,弱層と硬層の片方の境界で杭を回転固定
として水平に強制変位させるようなモデルで現象を再現する
ことができ,港研方式を適用して計算できる。
3) 杭中心間隔が小さいほど,側方流動に対する杭による抵
抗力の割合が大きくなる。
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