本研究は一面せん断試験の適用性の検討のため深度-50〜-12
0mから採取した洪積粘土の不覚乱試料を用い試験結果を三
軸試験の結果と比較検討した結果次のような結論を得た。
1)再圧縮法により洪積粘土地盤の非排水せん断強度を求めた
結果、ひずみ速度1.25%/分の一面せん断強度は、ひずみ速
度0.1%/分である三軸試験結果の強度(三軸圧縮強度と三軸
伸張強度の平均)の約95%であった。ひずみ速度効果を考慮
すると一面せん断強度は三軸強度の90%未満であった。した
がって、一面せん断強度は三軸強度よりも安全側であった。
2)一面せん断試験から求められる見かけの剛性率G50と三
軸圧縮試験や三軸伸張試験によって求められる変形係数E50
との関係は次式で表される。G50= 0.26 E50 ポアソン比を0
.5とするとG50=0.33 E50となるが、求められた剛性率がこ
れより小さいのはG50に対応するひずみがE50によるひずみよ
りも大きく弾性係数のひずみ依存性によると考えられる。
3)剛性率は一面せん断強度の約100倍であり、この関係は他
の海性粘土のデータと一致している。
4)一面せん断試験において三軸試験の結果と同程度の精度の
試験結果が得られたことより、洪積粘土に対しても一面せん
断試験は実用的な強度評価方法として使用できると考えられ
る。
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