港湾技研資料

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長周期波のエネルギ−レベルとそれによる荷役稼働率の推定

港湾技研資料 NO.0934 1999.06

執筆者平石哲也
所属水工部 波浪研究室

要旨

 周期1〜数分の波を長周期波と呼んでいる.長周期波が港
内へ侵入すると,係船索と係留船舶で構成される振動系と共
振を生じ, 大きな水平運動を引き起こす.この水平運動の
ために,しばしば荷役が中断されたり,係留索が切断される
事故が生じている.長周期波による荷役障害は,苫小牧,能
代,鹿島,細島港などで報告されており,早急な対策が必要
である.長周期波波に対する対策としては,1)防波堤の延
伸,2)係留索の材質改良,3)港内の消波性能を向上させ
ることによる長周期波の増幅防止,4)長周期波発生時の予
測による事前非難の実施,などが考えられている.これらの
対策の実施にあたっては,対象となる長周期波の振幅すなわ
ちエネルギ−レベルを与える必要がある.現地観測が実施さ
れている場合には,現地観測結果をそのまま外力として与え
ることも可能であるが,観測結果にはばらつきがあり,ある
代表的な数値を設定しておくことが望ましい.そこで,本研
究では,観測で得られたスペクトル形状を活用し,長周期波
に対応する周波数スペクトルのレベルを設定した.
 また,長周期波による荷役障害を定量的に表現するために
は,荷役稼働率としての評価が必要である.そこで,標準的
な長周期波のレベルを用いて港内における荷役稼働率を推算
し,実測観測値との比較を行った.その結果,両者はよく一
致し,本研究で求めた標準的なエネルギ−レベルが現地に適
用できることが明らかとなった.


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