
大船渡湾における潮汐周期の流れ場および貧酸素期の水質特性
港湾技研資料 NO.0938 1999.06
| 執筆者 | 豊田政史,日比野忠史,西守男雄,細川恭史,鶴谷広一 |
| 所属 | 海洋環境部 環境評価研究室 |
要旨 | 本研究は,内湾における水質管理手法の確立を最終目的と して,三陸沿岸に位置する岩手県大船渡湾において,夏季( 貧酸素期)における湾内水質の現地観測および再現計算を行 ったものである.主要な結論は以下の通りである. 1)貧酸素期(7〜10月)においては,従来からいわれている ように,底泥からの溶出によると考えられる溶存態の栄養塩 (特にリン)が底層で多くみられ,底層の貧酸素化が栄養塩濃 度の増加と密接な関係があることを確認した. 2)栄養塩を多く含む貧酸素水塊は,下げ潮時において,湾内 水の流出にともなって湾外へ排出される.湾内上下層間の密 度勾配が小さくなるほどその排出量は大きくなることが現地 観測からわかった.そして,その機構が内部波によるもので あることを2レイヤーモデルによる数値計算で確認した. 3)夏季(成層期)における海水交換機構は,下げ潮時に表層 ・底層から流出,上げ潮時に中層から流入の傾向であった. また,湾内底層水の湾外排出を補償する湾外から湾内底層へ の酸素供給量は湾内底層水の酸素消費量の約1/3であり,こ の機構にともなう湾外からの酸素供給量が湾内底層の溶存酸 素量の変動に影響を及ぼしていることがわかった. |
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