
超音波を利用した浮遊泥の凝集沈殿技術の開発
港湾技研資料 NO.0939 1999.06
| 執筆者 | 剣持知浩,白井一洋,吉江宗生 |
| 所属 | 機械技術部 計測施工研究室 |
要旨 | 従来,濁水中の懸濁粒子を取り除く手法としては主に凝集 剤やフィルターを用いている.これに代わる手法として,超 音波の放射圧が微小物体を動かすことを利用し,懸濁粒子を 除去するための研究を行った.実験装置を製作して,超音波 により疑似定在波を発生させ,水中の粒子を凝集し,さらに 搬送させることができた. この装置を用いて流量,初期濁度,入力パワー,粒径など をパラメータとして実験を行い,粒子の凝集特性,搬送特性 を調べた. 実験の結果次のことが明らかになった.流入速度と処理能 力との間には,ある速度(しきい速度)を境にして2種類の 特性があり,しきい速度以下では初期濁度に関係なく一定の 濁度の処理水が得られる.しきい速度の特性として,初期濁 度には依存せず,入力パワー,粒径,入射角を大きくすると しきい速度も大きくなる.懸濁粒子が凝集してできるフロッ クの搬送速度に関しては入力パワーが大きいほど速く搬送さ れる.実験的には2.0MHzの場合,200Wの音響パワーを入力 することで,7.9μmの懸濁粒子を含む懸濁液を1秒間に4.2 ml(15l/h、0.36m3/dに相当)の速さで50ppmにまで処 理できることを確認した.今回開発した手法では大量の濁水 処理には及ばず,さらに効率を向上させるための研究が必要 である.しかし薬剤,フィルターを用いず濁水を処理できる ことから,新しい濁水処理システムの可能性を示すことがで きた. |
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