港湾技研資料

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航空機の応答に基づく空港舗装の平坦性評価

港湾技研資料 NO.0954 2000.03

執筆者八谷好高,殷建軍,高橋修,坪川将丈,室園正徳,阿部寛
所属土質部 滑走路研究室

要旨

 本資料では空港舗装の平坦性についてとりまとめた.まず
,空港舗装の表面性状に関する航空機パイロットの主観的評
価について研究し,平坦性が乗り心地に及ぼす影響が最も大
きい項目の一つであることを明らかにした.次に,航空機が
滑走路と誘導路上を走行するときの舗装縦断形状に対する応
答に関する数値シミュレーションをプログラムTAXIを用いて
実施した.その結果として,航空機の応答が振幅,波長とい
った舗装の表面性状だけではなく,航空機走行速度によって
変化することを示し,空港滑走路と誘導路の平坦性に関する
評価値をまとめた.主要な結論を以下に示す.
 (1) 空港舗装に対する乗り心地・走行安全性についてはパ
イロット全体の6〜7割が肯定的な評価をしている.
 (2) 表面性状が乗り心地・安全性に及ぼす影響の大きさは
航空機の走行速度によって異なり,滑走路で最大となってい
る.
 (3) 走行安全性には舗装表面への雪氷付着,破片散乱によ
る航空機破損の危険性が大きく影響するのに対して,乗り心
地に大きく影響を及ぼす表面性状項目は航空灯火・段差とい
った縦断方向平坦性である.
 (4) 地上走行時の航空機の鉛直加速度は舗装の平坦性の悪
化につれて増加することがシミュレーションの結果明らかに
なった.この加速度が最大となる波長は誘導路走行時と滑走
路走行時で異なり,前者では10m付近であるのに対し,後者
では10m付近以外にもいくつか認められる.
 (5) 航空機の鉛直加速度は走行速度ならびに航空機内の位
置によって異なるが,パイロット位置におけるものが重心位
置におけるものよりも厳しくなっている.
 (6) 空港舗装の平坦性に関する評価値について,鉛直加速
度を0.35g以下に制限することによって航空機の乗り心地の
観点から凹凸の高さとして示した.具体的には,滑走路では
広範囲の波長域にわたって50mm程度であるのに対して,誘導
路では5〜15mの波長域でのみ10mm程度となっている.


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