
陸上出入貨物調査に基づく三大湾・北部九州の港湾貨物流動
港湾技研資料 NO.0955 2000.03
| 執筆者 | 末次広児,井上康一,渡部富博,森川雅行 |
| 所属 | 計画設計基準部 計画基準研究室 |
要旨 | 近年,東京湾(1998年),伊勢湾(1997年),大阪湾(1996年) および北部九州(1995年)で実施された陸上出入貨物調査のデ ータを用いて,港湾貨物の流動実態を分析した.陸上出入貨 物調査は,対象港湾の臨港地区などに設定された調査区域へ の搬出入貨物の一次流動を対象としており,取扱貨物量や件 数などを輸出入,移出入,コンテナ,非コンテナ,品目別に 解析するとともに,背後圏域の分析を行った.なお,本研究 の対象4地域で,全国の海上出入貨物の輸出で約70%,輸入で 約50%,内貿(移出・移入)で約40%,外貿コンテナ貨物で約90 %を取り扱っている. これらの解析から, (1)近年の港湾取扱傾向としては,取扱貨物量は伸びていな いものの,コンテナ貨物量は増加しており,多くの品目でコ ンテナ比率の上昇,コンテナ化が進展している. (2)三大湾,北部九州の各地域の背後圏については,伊勢湾 ,北部九州の背後圏は比較的狭く,県内流動が主であるのに 対して,大阪湾,東京湾の背後圏は広い.この傾向は,コン テナ貨物で著しい. (3)非コンテナ貨物については,品目別の背後圏の解析によ り,各地域毎に,県内流動が主である品目,県外流動が大半 を占める品目が把握できた. (4)仕出地,仕向地からみた利用港湾は,各地域,品目,貨 物形態などによって異なる.コンテナ貨物の利用港湾は,関 東地方では,横浜港と東京港に2分され,東海・中部地方で は,名古屋港,近畿・中国・四国地方では,神戸港,北部九 州では,北九州港と博多港の利用が多い.なお,大阪府では 大阪港,三重県では四日市港の利用も多い.また,非コンテ ナ貨物の利用港湾は,県外流動比率が高い品目に関して,利 用港湾が複数にまたがるケースが多いことが確認できた.た だし,伊勢湾におけるその他非金属鉱物(輸出)や北部九州の 米・雑穀・豆(輸出)のように,仕出地の都道府県でみると名古 屋港や博多港等の個別の港湾のみを選択しているケースもみ られた. これらの結果は,我が国の物流拠点として重要な4地域の 港湾貨物の流動特性を示すとともに,今後の港湾の整備,運 営の基礎資料となるものである. |
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