
浦賀湾防波堤の付着生物調査
港湾技研資料 NO.0962 2000.06
| 執筆者 | 細川恭史,三好英一,桑江朝比呂,古川恵太 |
| 所属 | 海洋環境部 環境評価研究室 |
要旨 | 東京湾湾口部に開口した浦賀湾で壁面付着生物相を観察し た.直立壁ではフジツボやムラサキイガイを中心とする富栄 養化内湾の典型的な生物相であった.壁面設置年次の差の利 用や壁面生物削り取り後の再付着の観察などにより,経年的 な再付着状況を検討した.削り取り後20日目の壁面では,生 物量(湿重量)も生息種も少なかったが,微小珪藻の定着が みられた.削り取り1年後の直立壁面では,植物・動物とも に種類数が急増していた.波堤設置後2〜15年経過した直立 壁を観察・比較した.湿重量では,1年目の急増後に2年目以 降減少し,15年目の壁面の状況に近づいていた.15年目の生 物相を基準にとって,生物群集の構造を類似度指数で比較し た.港外側の直立壁では,削り取り後20日目では類似度は低 いが,1年目にはかなり類似度が高くなり,その後3〜4年目 からさらに15年目の構造に近づいた.卓越種の一つであるム ラサキイガイを対象に,殻長の分布から年齢分布を推定した .この海域では2〜3年をサイクルとした脱落・更新がおこな われた形跡がみられた.ここでは,必ずしも毎夏ムラサキイ ガイが脱落するわけではないようである. |
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