
国際海上コンテナ貨物の時間価値分布に関する研究
港湾技研資料 NO.0987 2001.03
| 執筆者 | 樋口直人,渡部富博,森川雅行 |
| 所属 | 計画設計基準部 計画基準研究室 |
要旨 | 我が国産業の国際競争力を維持するため,効率的な物流体 系の構築が求められている.特に海上輸送を担うコンテナ貨 物輸送への対応が急務であり,より効率的,効果的なコンテ ナターミナルの計画,整備を行うためにはより高い精度の需 要予測が不可欠である. 日本へ寄港する基幹航路の減少や,地方圏を中心としたア ジア航路の増加の中,荷主は目的地までの多くの輸送ルート の中から,コストや信頼性などを考慮して最適な港湾を選択 している.需要予測においては,このような荷主の港湾・ル ート選択行動を反映する必要がある. そこで本研究では,全国輸出入コンテナ貨物流動調査を用 いてコンテナ貨物の流動実態を詳細に分析するとともに,荷 主の港湾・ルート選択に大きな影響を持ち,港湾別貨物量の 予測等において重要となるコンテナ貨物の時間価値について 検討を行った. 本研究により,以下の結論を得ることができた. (1)三大湾および北部九州地域は我が国の約90%の国際海上 コンテナ貨物を取り扱っているが,アジア航路を中心に地方 圏で取り扱うコンテナ貨物が増加している.また,海外港湾 へフィーダー輸送され,そこで本船積みされる海外フィーダ ー輸送が北米・欧州航路を中心に中枢国際港湾で増加してい る. (2)荷主の港湾・ルート選択行動の分析に犠牲量モデルを用 い,国際海上コンテナ貨物の時間価値分布の推計を行った. 欧米航路とアジア航路別の推計により,時間価値の分布形と しては対数正規分布が適合し,平均時間価値は,欧米航路の 輸出で約2,500円/h・TEU,輸入で約2,000円/h・TEU,また, アジア航路の輸出で約1,600円/h・TEU,輸入で約1,200円/h ・TEUであった. |
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