港湾技研資料

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界面渦等により不連続化した流れ場再現プログラムCIP-m-FEMの開発

港湾技研資料 NO.0989 2001.03

執筆者中山恵介,岡田知也
所属海洋環境部 環境評価研究室

要旨

 湾外からの内部波等の影響を考慮できる湾内流動モデルと
しては,3次元非静水圧湾内流動モデル(CIP-CSF)を挙げる
ことが出来る.しかし,3次元モデルを用いて,内部波など
の影響を正確に再現,検討するためには,計算グリッドの解
像度をかなり上げる必要があり,現段階では実用上困難であ
る.そこで,そのような波の成分を再現でき,実際上実用可
能であるモデルとして,マルチレイヤーモデルを挙げること
が出来る.しかし,計算を行う際,空間的に内部フルード数
が1.0を越える場所,越えない場所,いわゆる内部跳水が発
生し,計算不安定が生じ計算実行不可能になる.
 したがって,湾内流動の予測,再現において,常射流混在
の流れ場を浅水流方程式により再現することは重要であり,
さらに適用性を高めるためにも差分法等の構造格子による計
算ではなく,非構造格子による再現計算が重要である.そこ
で本資料では,常射流混在場を浅水流方程式により容易に再
現することが出来るCIP-mスキームに有限要素法を適用し,
これまでの実験結果と再現計算の比較,検討を行い,新たな
モデルCIP-m-FEMを構築することを目的とする.
 有限要素法を適用する際,様々な流れ場での再現計算を可
能にするため,3角形メッシュを用いる.しかしながら,3角
形メッシュでは従来のCIP法を用いることが出来ない.そこ
で,新たな補間関数を定義したCIP-s法を提案した.さらに
,有限要素法を適用する際に集中化を用いずにマルチパス法
を用い,壁面等の急激に流速が変化する場所での再現性を高
めた.その結果,水路幅0.8m,水深0.0353m,フルード数2.
0以上の流れ場に置かれた直径0.10m円柱により発生した斜
め波と,その斜め波が壁面から反射した斜め波と共鳴する
ことにより発生した水深の増大等を,良好に再現することが
出来た.


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