港湾技研資料

一覧へ戻る

微動アレー観測を用いた表層地盤の平均S波速度の推定

港湾技研資料 NO.0992 2001.06

執筆者長尾毅,西守男雄,佐藤幸博,佐藤陽子,海老原健介,田中剛,巽裕一郎
所属構造部

要旨

 本研究は,常時微動アレー観測を用いた地下構造推定に関
する研究の一環として,地盤の平均S波速度を直接推定する
手法の適用性を検討したものである.地盤のS波速度構造は
,地盤の振動特性や強度特性を知るうえで非常に重要な指標
である.
 しかしながら,地盤のS波速度構造の把握は,PS検層など
の土質試験を実施する必要があるため,経済的な観点により
強震観測地点などのごく限られた箇所においてのみ実施され
ているのが現状である.本研究で対象とする常時微動アレー
観測は,比較的容易かつ経済的に実施することが可能であり
,観測結果をもとに空間自己相関法を適用して基本モードレ
イリー波の位相速度を求めることにより,地盤の平均S波速
度を推定することが可能である.このため,観測位相速度を
もとに推定される地盤の平均S波速度の精度が実用的な範囲
にあることが確認できれば,耐震設計やサイスミックゾーネ
ーションなどの多方面な分野に適用することが考えられる.
 このような背景のもと,本研究においては港湾および空港
地域においてPS検層の実施されている全国の19地点を対象に
,常時微動アレー観測を実施し,空間自己相関法を適用する
ことによりレイリー波位相速度を求めた.得られた位相速度
と波長の関係から平均S波速度を推定し,弾性波探査試験結
果と比較したところ,両者は非常によい一致を示した.
 このことより,常時微動観測の地下構造推定への適用性が
確認された.


一覧へ戻る

お問い合わせはkikaku@ysk.nilim.go.jpまでお願いします。

(C)Copyright 1996-2007 Nationnal Institute for Land and Infastructure Management(NILIM)
No reproduction or republication without permission.