空港舗装においては一般道路と比較して上載荷重が大きい
ため,アスファルト舗装はわだち掘れが生じやすく,特に耐
流動性の向上が課題となる.一方,コンクリート舗装は耐久
性には優れるものの,施工が大がかりで養生に長時間を要す
ること,ひびわれの発生を抑制するために適当な間隔で目地
を設けなければならないことが課題となる.
このような背景から,両者の長所を兼ね備えた,セメント
アスファルト乳剤系常温複合混合物を空港舗装用材料として
開発することを目的として研究を行った.
本研究において,空港舗装に特有の重荷重下での耐流動性
,乾燥収縮について主に着目して室内試験を行い,材料選定
および配合について検討を行った.次に,室内実験から得ら
れた配合を用いて,試験施工を実施し,施工性および舗装性
状の確認を行った.
一連の検討の結果,得られた結論を以下に示す.
(1)舗装の耐流動性および表面性状の向上のためには,セメ
ント量の増量が最も効果的であった.しかし,増量により乾
燥収縮ひび割れが発生しやすいため,両者のバランスを考え
ると,セメント量は3.7%程度配合することが望ましい.
(2)乾燥収縮ひび割れは,アスファルト乳剤量の増量により
低減されるが,増量により耐流動性が損なわれるため,両者
のバランスを考えると,アスファルト乳剤量は9.5%程度配
合することが望ましい.
(3)重交通下にある空港舗装においては,高い耐流動性が必
要とされる舗装の基層として用いることが可能である.
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