港湾技研資料

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アルカリ骨材反応により損傷したコンクリート部材の力学挙動と補強方法に関する提案

港湾技研資料 NO.0994 2001.06

執筆者岩波光保,横田弘,鳥居和之,鈴木義晃,奥山和俊
所属構造部 構造強度研究室

要旨

 主に骨材事情の劣悪な地域で,アルカリ骨材反応(ASR
)によるコンクリート構造物の損傷事例が報告されている.
ASRは,水分の供給により反応が加速されるため,いくつ
かの臨港交通施設の橋脚やフーチング等で顕著な損傷が認め
られている.このような構造物においては,コンクリートの
強度および弾性係数の低下やかぶりコンクリートの剥落等に
より,構造性能の低下が懸念されるだけでなく,コンクリー
ト表面に発生したひび割れから塩化物イオン,水,酸素がコ
ンクリート内部に浸入できるようになるため,内部鉄筋の腐
食も危惧される.しかしながら,ASRによる損傷度と構造
物の力学性能や耐久性能の関係については体系的に整理され
ているとは言えない.そこで本研究では,ASRにより損傷
した鉄筋コンクリート試験体を作製し,その正負交番載荷試
験を通じて,ASRによる損傷がコンクリート部材の力学挙
動に及ぼす影響を調べた.また,ASRによる損傷を受けた
構造物の補強方法として,PC巻立て工法を取り上げ,その
有効性を調べた.その結果,ASRによる損傷を受けても,
耐荷力およびじん性が著しく低下することはなかったが,試
験体の破壊過程や破壊形態,ならびにエネルギー吸収性能に
ASR損傷による影響が見られた.また,ASRによる膨張
は環境条件の相違により異方性が存在するため,載荷方向に
よって力学挙動が変化した.さらに,PC巻立て工法により
補強した試験体の載荷試験結果より,耐荷力および靭性の両
面からの補強効果を確認することができた.


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